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【学部】




産業構造

本講義は、産業経済論について基礎的な理論を説明し、実際の産業の事例をどのように分析できるかを説明する。産業経済論は大別すれば、産業構造論と産業組織論に区分することができる。産業構造論はマクロ的に様々な産業部門全体を包括して捉え、経済発展に伴い、産業構造がどのように変容してきたかを動態的に分析する見方である。他方、産業組織論はミクロ的に各産業の市場構造を分析し、その条件の下で価格がどのように決まり、企業がどのような振る舞いをするかを静態的に分析する見方である。実際の産業分析においては、まずは産業組織論を援用して産業のスナップショットを描くとともに、産業構造論に基づいて歴史的なパースペクティブから産業発展段階を把握した上で考察することが有用である。本講義では、産業構造論については日本と中国の経済発展と産業発展の来歴をマクロ的な指標に基づき回顧しながら理論の適合性を吟味するとともに、産業組織論については個別産業の分析をケースに理論が実際の産業分析にどのように援用できるかを示す。


授 業 計 画

第1回 オリエンテーション         
第2回 中国経済入門               
第3回 経済発展と産業構造の変化        
第4回 農業の衰退の背景とその評価     
第5回 日本企業の対外進出による構造変化−空洞化か、国際分業か     
第6回 続き                
第7回 サービス経済化−アメリカの復活、日本の低迷の背景要因、中国の新しい発展戦略
第8回 続き   
第9回 大企業と中小企業の二重構造と産業の競争力
第10回 産業組織論のレビュー:S-C-Pパラダイム
第11回 ケース@:牛乳産業−製品差別化
第12回 ケースA:自動車産業−市場集中、規模の経済性、参入
第13回 ケースB:電力産業−垂直統合、自然独占
第14回 ケースC:セメント産業−M&A
第15回 まとめ−産業政策の効果、必要性?、産業育成政策、産業構造調整政策






コアセミナー

鉄は熱いうちに打て。大学に入学したばかりの1年生に大学の醍醐味である、ゼミを通じた研究活動の一端を味わってみてもらいたいと思います。まずテキストを輪読し、我々の生活する九州地域の経済を産業という視点から見ればどう見えるか、そのための分析視角はどのようなものか、学びとりましょう。そしてテキストの内容を踏まえ、@テキストが出版された後の変化 Aテキストは明確には取り上げていない点ですが、中国との結びつきの状況について、自らリサーチ(調査)をしてみましょう。研究につながる「仮説」のひねり出し方、具体的なデータ収集方法などについて個別に指導していきます。




中国語経済


本講義の内容は、中国語の学習ではなく、中国語で書かれた経済関連文献を読み、採り上げたトピックの理解を深めるために、関連する経済理論や日本の状況などを比較参照しながら、題材を批判的に検討することである。履修者は、順番に少なくとも1回は、題材の要約、関連する経済理論や日本の事例紹介を含んだ発表を行い、授業で参加者が行った議論の内容も盛り込んだリポートを期末までに作成することが求められる。題材は、産業経済論をベースに、具体的な中国の事例についてケーススタディを行っている論文を選別する。採り上げる論文は毎回10ページ程度で量は多くない。精読よりも多読する能力の形成を目標とする。したがって全学教育で受けた中国語授業と比べると少なからず飛躍がある。過去4年間の講義経験ではかなり予習に時間がかかるようであるが、それ以外に中国語文献を読解する力をつける方法はない。少なくとも発表担当の回については入念な準備を求め、発表の出来が悪い場合には厳しい評価を行う。しかし講義の目的は、中国語が読めるようになりたい、中国経済というテーマを現地の言葉からより深く掘り下げたいという熱意のある学生諸君の役に立つことであり、無為に難度を上げるつもりはない。学生諸君が少し背伸びして頑張ればクリアーできる水準に目標を設定する。また文意の取れない文章がある場合、オフィスアワーを利用して教員に質問することを認めるので積極的に活用してほしい。






【大学院】


産業構造特研T

経済発展に伴う、中国の産業構造の変容について実証分析を行う。前半は、中国の経済発展と産業構造に関する文献を輪読する。具体的には、@Paul Gregory and Robert Stuart [2004] Comparative Economic Systems in the Twenty-first Century, Boston: Houghton Mifflin Company、AJanos Kornai [1992] The Socialist System: Political Economy of Communism, Princeton: Princeton University Press、B深尾光洋 [2006]『中国経済のマクロ分析』日本経済新聞社などの文献を想定している。後半は、計画経済から市場経済への移行と四半世紀を超える高度成長という条件変化によって、中国の産業構造がどのように変動してきたか、実際に中国の統計を用いた演習方式(履修者が実際にデータを収集、加工し、分析した結果を報告)で講義を進める。









九州大学 堀井伸浩研究室