• HOME
  • その他
  • 新着情報一覧
  • 世界的に最も権威のある学術誌の一つである『Science』に経済学研究院・加河茂美教授の共著論文が掲載されました

新着情報

世界的に最も権威のある学術誌の一つである『Science』に経済学研究院・加河茂美教授の共著論文が掲載されました

公開日:2025.06.09

世界的に最も権威のある学術誌の一つである『Science』に、経済学研究院・加河茂美教授の共著論文が掲載されました。
以下に研究の概要をご紹介します。

 

———————————–

 

 

鉱物資源の生産、水資源の限界と持続可能性

 

近年、再生可能エネルギーやインフラ整備に必要不可欠な鉱物資源の需要が世界的に急増しています。しかし、その採掘や加工には大量の水が必要であり、地域によっては水資源の持続可能性を脅かす大きな要因となっています。国立研究開発法人産業技術総合研究所・東京大学・九州大学などの研究チームは、世界中の鉱山データと水資源データを統合し、32種類の鉱物資源の生産が地域の水資源に与える影響を分析しました。

 

研究結果によると、2010年時点で鉱物資源の生産に使われた水量は約67億立方メートルで、鉄、石炭、リン鉱石、銅、金、ニッケルの6資源が全体の94%を占めています(図1)。特に銅は、生産量の約37%を占める地域において水の供給能力を超えており、持続可能な限界を大きく上回っています。

 

地域別に見ると、南米のチリやペルー、中国北部やインドなどで水資源を超える生産が集中しており、水ストレスの深刻さが浮き彫りになりました(図2)。一方で、現在は生産していないが水資源に余裕のある国々もあり、生産地を移すことで水資源の過剰利用を緩和できる可能性があります。

 

ただし、こうした地域間の生産の代替には、経済競争力やインフラ、人材といった多様な制約があるため、実現は容易ではありません。特に銅や金のように採掘施設の増強が難しい資源では、採掘地の移転可能性が大きく制限されます。

 

さらに、将来的には金属資源の需要が飛躍的に増加し、水消費量も最大で現在の2〜3倍に達すると予測されています。これは再生可能エネルギーや電気自動車の普及に伴う金属需要の拡大が背景にあります。中でも銅やニッケルは、脱炭素化技術に欠かせない素材であり、その持続可能な供給体制の構築が急務です。

 

研究チームは、今後の鉱物資源の生産において、採掘可能性や経済性だけでなく、水資源の地域的制約を重視する必要があると指摘しています。また、再生技術の進展やリサイクルの強化、政策による水使用権の調整など、多面的な対応が求められます。

 

本研究は、地球規模での資源利用と環境保全の両立を目指すうえで、鉱物資源の生産と水資源の相互関係に初めて体系的に迫った成果として注目されています。

 

 

掲載論文:Islam, K., Maeno, K., Yokoi, R., Giurco, D., Kagawa, S., Murakami, S., Motoshita, M. (2025). Geological resource production constrained by regional water availability. Science, 387(6739), 1214–1218.

https://www.science.org/doi/10.1126/science.adk5318

 

———————————– 

close