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経済学府博士後期課程2年の月岡葵さんが伊藤早苗賞を受賞されました!

公開日:2025.11.21

 伊藤早苗賞(正式名称:「九州⼤学若⼿⼥性研究者・⼥⼦⼤学院⽣優秀研究者賞」)は、将来の学術研究を担う優秀な⼥性研究者の育成と、これによる九州⼤学のダイバーシティ促進等に資するため、優れた研究業績を挙げた若⼿⼥性研究者と⼥⼦⼤学院⽣を表彰する賞です。

 

<参考> 九州⼤学若⼿⼥性研究者・⼥⼦⼤学院⽣優秀研究者賞(伊藤早苗賞)の説明は こちら

 

 このたび、経済学府博士後期課程2年の月岡葵さんが伊藤早苗賞を受賞されましたので、お知らせします。
 月岡さんのこのたびの受賞業績について、以下のとおりご紹介します。

 

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 日本は国内で必要とするエネルギーの95%以上を輸入に依存しており、2022年以降の輸入価格の高騰(2倍以上)により、国内産業は大きな影響を受けている。そこで本研究では、輸入インフレーションの波及構造を分析する新たな手法を開発した。この手法を用いて日本の産業構造を実証的に分析し、輸入エネルギー資源(原油・石炭・天然ガス)の価格上昇の影響を受けやすい産業部門を特定した。具体的には、産業連関分析の価格モデルと単位構造モデルを応用し、輸入エネルギー資源が国内産業に及ぼすコスト波及(コストプッシュ)の構造を把握する新しい分析モデルを構築した。その結果、化学製品や舗装材料を含むサプライチェーン上流・中流の産業部門が、輸入エネルギー価格上昇の影響を特に強く受けることが明らかとなった。

 

従来のエネルギー価格上昇への政策対応は、主にサプライチェーン下流の消費者向けの負担軽減策に重点が置かれてきた。しかし、本研究が特定した上流・中流の産業部門に対しても、コスト負担軽減策やエネルギー効率向上策を講じることが重要である。これらの部門における再生可能エネルギー導入やエネルギー効率化の推進は、サプライチェーンにおけるコストプッシュを緩和し、国内製品価格の上昇、すなわち輸入インフレーションの抑制につながると期待される。本研究は、日本学術振興会科学研究費助成事業(JP20H00081)および JST 次世代研究者挑戦的研究プログラム(JPMJSP2136)の支援を受けて実施され、その成果は 2025年1月20日に Economic Systems Research 誌(2024 Impact Factor: 1.6)に公開された。

 

さらに、本研究が示したエネルギーコストの低減に有効な化石燃料削減策は、CO2排出量削減にも寄与し、国際エネルギー価格への脆弱性克服と脱炭素社会の実現を両立し得ることが示唆された。そこで月岡さんは、コスト分析に排出量分析を統合し、「コストと排出量が同時に集中する産業間取引(コスト・排出量ホットスポット)」を特定する新たな研究を展開した。これらの成果をまとめた論文は、環境経済学分野のトップジャーナルである Energy Economics誌(2024 Impact Factor: 14.2)で現在査読中である。月岡さんはこの一連の研究を通じ、日本産業の化石燃料使用に関する議論を深化させ、エネルギー政策と脱炭素政策の両面に資する政策設計に大きく貢献している。

 

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写真:授賞式の様子

 

 

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