特色ある研究の紹介

情報技術の経済効果に関するグローバル研究

  • 篠﨑彰彦教授
  • 加河茂美教授
  • 藤井秀道准教授

研究概要

本研究では、世界規模で進展する情報ネットワーク化や人材の国際移動が産業と経済に及ぼす影響について、多国間の長期パネルデータをもとに実証分析した。その結果、情報通信技術への投資が再生可能エネルギー産業の生産性向上に効果を有すること、情報化に伴う人材の国際移動が対米サービス貿易にプラスの影響を与えていることなどを検証すると共に、デジタル化の進展で変容するグローバル社会の可能性と課題を明らかにした。

研究の特徴

【学術的意義】
経済学と情報技術や環境問題など分野横断的で新規性と独創性に優れた研究成果は、エネルギー分野における国際的なトップジャーナル((1):IF=2.707)、ネットワーク戦略分野における国際的な有力ジャーナル(2)にそれぞれ論文掲載されており、学術的に高く評価されている他、ドイツの政府系シンクタンクFriedrich Ebert Stiftungと中国の上海国際問題研究院がG20サミットに合わせて2018年11月に共催した学術国際会議にて基調講演に招聘(3)されるなど学術的価値が国際的に高く評価されている。

【社会、経済、文化的意義】
上記の3つの研究成果は現実の政策立案にも積極的に活かされている。具体的には、総務省情報通信審議会の専門委員(篠﨑教授)として、2030年代を視野に入れた我が国の情報通信政策ビジョン「未来をつかむTECH戦略」の策定に参画したほか、情報通信白書アドバイザリーボード委員(篠﨑教授)として閣議に提出する『情報通信に関する現状報告(情報通信白書)』の企画・構成・編集にも参画している。さらに、2018年4月からは、内閣府が全国規模で行うIT投資の生産性・経済効果に関する実証研究プロジェクトの主査および分析者として、内閣府経済社会総合研究所の主任研究官(篠﨑教授)と研究官(藤井准教授)に就任し、全国アンケート調査の設計、実施、並びに、経済センサス・企業活動基本調査等他の政府基本統計とのマッチングによるデータ解析でプロジェクト全体の指揮と分析に携わっている。このように、我が国の情報通信政策と経済成長戦略の政策立案プロセスに学術的な知見を踏まえて積極的に貢献しているほか、研究成果の一部は、英国ロンドンの日本クラブで2018年3月に開催された産業界向け会合(FMMC London主催)での招聘講演など国内外に広く発信されており、学会、官界、産業界に影響力を有する社会的意義の高い研究といえる。

関係する研究成果(*印は査読付, +印は招聘)

【論文】
1) * “How Does Information and Communication Technology Capital Affect Productivity in the Energy Sector? New Evidence from 14 Countries, Considering the Transition to Renewable Energy Systems,” Hidemichi FUJII, Akihiko SHINOZAKI, Shigemi KAGAWA, and Shunsuke MANAGI, Energies, Vol. 12, No. 9, May 2019, pp. 1-16. (https://doi.org/10.3390/en12091786)

2) * “The role of cross-border networks of skilled labor in offshore outsourcing: Empirical evidence based on the network theory,” Akihiko SHINOZAKI, Shigehiro KUBOTA, Springer Japan, The Review of Socionetwork Strategies, Vol. 12, No. 2, 2018, pp. 153-165. (https://doi.org/10.1007/s12626-018-0028-3)

【国際会議での基調講演(招聘)】
3) + “Digital innovation and analog complements: Making the digital economy prosperous,” Akihiko SHINOZAKI, in Global Governance and the Digital Economy: Prospects and Challenges, Session 1: G20 and the Digital Economy, International joint conference organized by The Shanghai Institute for International Studies and The Friedrich-Ebert-Stiftung, Shanghai, PR China, November 29, 2018.

研究に携わる教員

篠﨑彰彦教授

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加河茂美教授

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藤井秀道准教授

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