金融機関のリスク管理にとって数理モデルは必要不可欠な道具である。古典的な理論を前提にすれば、数理モデルによって、金融機関は最適な行動を決定することができる。しかし、前提とする数理モデルが誤っていれば、想定外の損失を被るリスク(モデルリスク)がある。本研究では、モデルリスクを前提として、金融商品の最適なリスクヘッジ方法を理論的に解析した。また、実用化のために必要となる効率的な数値計算方法を示した。
【学術的意義】
モデルリスクを考慮した平均分散ヘッジング手法を開発し、査読付き国際会議Quantitative Methods in Finance Conferenceに発表採択(1)されただけでなく、その内容をまとめた論文は金融工学分野のトップジャーナルに掲載された(2)。さらに関連のモデルリスクを考慮したデリバティブのヘッジの数理的な分析に関する(3) (IF=0.603)が公刊され、学術的に高い評価を得ている。
【国際会議での発表】
(1) “Mean-variance hedging with model risk ,” Koichi MATSUMOTO, in Quantitative Methods in Finance Conference (QMF) 2016, Sydney, Australia, 2016.
【論文】
(2) * “Mean-variance hedging with model risk,” Koichi MATSUMOTO, International Journal of Financial Engineering, Vol. 4, 2017, 1750042. (https://doi.org/10.1142/S2424786317500426)
(3) * “Partial super-hedging of derivatives with model risk,” Koichi MATSUMOTO, Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics, Vol. 34, 2017, pp. 811-831. (https://doi.org/10.1007/s13160-017-0267-7)
松本浩一教授