特色ある研究の紹介

アジア経済研究

  • 水野敦子准教授
  • 深川博史教授
  • 清水一史教授

研究概要

ミャンマーに関する論文は、ミャンマーと中国との経済関係が軍政の長期化を支えたが、民政移管によって、中国との経済関係が相対化されたことを示した。韓国農業に関する論文は、農民層の両極分化と高齢化を分析した上で、その対応策として導入されている地域単位の農業経営体の成果と限界について論じた。ASEANに関する論文では、AEC進展の現状と意義について言及し、今後のAEC研究の方法と方向について提言を行った。

研究の特徴

【学術的意義】
ミャンマーの経済分析に関する(1)は、海外の大手出版社であるSpringerから刊行された書籍に収められているだけでなく、同書の本成果は、国際的に著名なミャンマー政治経済研究者らによる書評(Ronald Findlay, “Asian-Pacific Economic Literature,” 30(2), 114-115, 2016;中西嘉宏『経済研究』(一橋大学経済研究所)、168(3)、282-284、2017;Sean Turnell, “The Developing Economies,” 55(3), 252-255, 2017)においても、高い評価を得ていることから学術的に優れた業績と判断できる。

【社会、経済、文化的意義】
(1)はアジアの最貧国であるミャンマーの経済開発は、国際社会において重要な課題であり、この課題を取り扱った本研究は、JICAの研究プロジェクトの一環としてなされたものであり、社会、経済的意義を有する。また、学術誌『韓国経済研究』に掲載された韓国の農業・農村政策に関する(2)は、国会図書館・立法調査局による委託研究を発展させたものであり、新たな農業経営体の実態を明らかにし、その問題点を鋭く指摘している。(3)は、アジア政経学会の『アジア研究』に掲載された東アジア経済共同体に関する論文は、日本最大のアジア研究学会であるアジア政経学会の研究ジャーナルに、査読の上で掲載された論文であり、ASEAN経済共同体に関する重要な研究成果と言える。

関係する研究成果(*印は査読付, +印は招聘)

【論文】
(1) * “Economic Relations between Myanmar and China,” Atsuko MIZUNO, The Myanmar Economy (Odaka, K. (ed.)), Springer, 2016, pp. 195-224. (https://doi.org/10.1007/978-4-431-55735-7).

(2) * 深川博史「韓国の農業・農村政策の変遷について」,『韓国経済研究』, Vol. 15, 2018, pp. 23-48.

(3) * 清水一史「世界経済におけるASEAN経済共同体と日本」,『アジア研究(アジア政経学会)』, Vol. 62, 2016, pp. 3-20. (https://doi.org/10.11479/asianstudies.62.3_3).

研究に携わる教員

close